教育科学研究会・指標

19xx年x月

前文

私たちは、日本国憲法および子どもの権利条約に示される理念にもとづきながら、すべての子ども・青年の人間としての自立をはかるとともに、わが国の平和的・民主的・文化的な発展と、人類の平和と福祉に寄与する教育の仕事を誠実におしすすめていきたい。そのために、私たちの努力と協力のめあてとして、つぎの指標をかかげる。

一. 教育のめあて

私たちは、すべての子ども・青年の可能性を尊重し、生きる希望と学ぶ喜びを大切にしながら、人間としての全面的な発達をはかる。またかれらが、わが国の歴史をふまえ未来をになう主権者にふさわしい能力やモラルを獲得していくことのできる教育をめざす。そのために、子ども・青年が健康なからだをもち、平和と人権と民主主義を尊重する精神につらぬかれ、ゆたかな感性と高い知性を身につけ、未来への洞察力と世界的視野をもつ人聞に育つよう、最善の努力をつくす。今日、私たちは、環境問題・南北問題・民族問題・エネルギー問題をはじめ、地球規模でのさまざまな問題に直面している。そして、未来に生きる子ども・青年は、アジア諸国はもとより世界各国の人々と協力しあって、これらの問題の克服に立ち向かい、平和でゆたかな世界を築いていくことが求められている。

二. 教育の主体

教育において、子ども・青年は発達の主体であり、学習の権利を有する。また、教育権は父母・国民にある。私たちは、子ども・青年や父母・国民の教育のねがいや批判を正しく受けとめながら、地域に生きる父母、住民とともに、民主教育の創造と発展につとめる。

三. 学習と教育・研究の自由

子ども・青年に喜びにみちた学習を保障する教育は、これまで人類や民族がはぐくみ育ててきた言語・科学・芸術・スポーツなどのゆたかな文化を内容とする、創造的な実践によって可能となる。そのためには、何よりも子ども・青年の学習の自由と教育者の教育・研究の自由が必要である。私たちはその自由を守る責任をはだしていきたい。この教育と研究の自由は-教職員同士の、また教職員と父母・国民との間の相互の批判、連帯・協同によって確保される。

四. 幅広い研究協力と国際交流

子ども・青年の発達と教育の営みは、さまざまな社会的関係や環境のもとでおこなわれている。したがって、教育の科学的研究もまた、つねに教育を総体としてとらえることが大切であり、同時に各分野についてのより深い研究をすすめていくことが必要となる。そのため、私たちは各方面の経験者や専門家の協力を得て、学校や地域に教育研究の根をおろすことにつとめていく。また、私たちの教育と研究は国際的視野と展望のもとにすすめることが重要であり、その国際交流を積極的にはかつていく。

五. 教育実践と理論の統一

創造的な教育実践には理論が必要であり、また実践に寄与する教育理論の創造は、すぐれた実践の個性と普遍性を深く把握し、批判的に検討することによって達せられる。私たちは、多種多彩な教育実践の一つひとつを大切にし、その理論化につとめる。そのため、実践者と研究者・専門家との協力関係を深めていく。

結び

以上のような努力と責任をはたしていくために、私たちは、おたがいに信頼しあい、それぞれの実践や研究の成果を広く交流し、意見を自由にたたかわせるとともに、個々の意見や研究方法などのちがいをこえて、平和と人権、民主主義の精神をつらぬく教育を創造する力を幅広く結集するようにつとめる。