教科研委員長
佐貫 浩からのメッセージ

戦後教育は、戦後民主主義の大きな流れの中で、戦争動員に使われた戦時下の教育への反省に立って、日本の教育をその民主主義の具体化されるべき場として捉える多くの教職員と教育学研究者の共同努力の中から切り拓かれてきました。やがてその思いを教育の本質において再把握するという教育学意識にたって、戦後教育学が本格的に展開されるようになっていきました。勝田守一の「教育的価値」概念や、堀尾輝久の「国民の教育権論」等々がその中に蓄積されていきました。そしてそれは、同時に多くの教師の教育実践を励まし意識化するものともなり、また同時に教育実践の豊かな蓄積が教育学の発展を促すという壮大な循環が生みだされていきました。

教育科学研究会はそういう戦後教育学構築の精神を継承し発展させ、私達が直面する教育の現代的課題に取り組む教師と教育研究者、教育関係者の集う研究会として、活動を続けてきました。雑誌『教育』は、そのような日々の実践と研究をたえず紹介、交流してきました。そして、子どもの権利と日本の明日を担う主体を育てる教育の営みを捉え、意識化し、意味づける教育学の言葉を生み出す努力を続けています。

しかしいま、憲法改正をも企図する安倍内閣の下、そして90年代からの激しい新自由主義的社会破壊の中で、大きな日本社会の危機、民主主義の危機に私たち直面しています。この歴史的転換点にあって、日本の教育は、かつてない困難の中におかれ、その危機を越える一段と深い、かつ国民的な共同を切り拓くことが求められています。教育科学研究会は、それに応えうる新たな教育学研究と教育実践を進めたいと考えています。教育の本質に立った創造的教育実践と教育学認識が、民主主義に向かう確かな歴史的転換の力として働き、日本の子どもの未来を輝かせる時を切り拓きたいと願っています。そのための共同に参加下さいますよう、心から願っております。

佐貫 浩

法政大学キャリアデザイン学部教授 日本教育学会(理事)、教師教育学会、教育政策学会会員、日本平和教育研究協議会代表委員、民主教育研究所運営委員

専攻領域

教育行政学/平和教育学/教育課程論/道徳教育

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