教科研委員長
佐藤広美からのメッセージ

 佐貫浩さんの後を継いで、委員長に就きました佐藤広美です。3年間の任期中は、ぜひ、頑張っていきたいと思っておりますので、どうぞ、よろしくお願い申し上げます。

 私は、1954年に北海道の夕張で生まれ、現在65歳です。北海道教育大学札幌分校を卒業し、その後、東京都立大学の大学院に学びます。さらに助手を務め、結局、16年間、都立大学で教育学を学んだことになります。1996年に現在の東京家政学院大学に移ってきました。

 都立大学に学んだことが、教科研との関わりで決定的でした。教科研の会員になり、常任委員に加えていただきました。山住正己先生(日本教育史、故人)、坂元忠芳先生(発達思想史)、そして、小沢有作先生(民族教育論、故人)からたくさんのことを学ばせていただきました。

 私は、いま、教科研の研究活動方針作成の責任者です。私は、方針の基本は、ひと言でいえば、「地域住民・父母と共に、子どもの声を聴く教育実践の豊かな創造を」というふうに考えようとしています。「子どもの声を聴く教育実践」は、戦後の教科研が再建以来、一貫して大切にしてきた考えだと思っているからです。

 豊かな教育遺産を残した戦前教科研の痛恨の反省事は、侵略戦争に加担してしまったことです。「子どもの声を聴く教育実践」は、この痛恨の反省のうえに生まれた戦後教育思想の核心であったと私は考えています。

 山住先生は、「若い人たちを戦場に送り出すことを当然とする教育は何度でも問題にする」と述べ、「文化と教育をつなぐ」教育実践を提起します。坂元先生は、「子どもとともに生きる教育実践」を述べ、「子どもの内面」を強調しました。私は、戦争前夜のような時代だからこそ、「子どもの声を聴く」がとても大切なものだと考えたのです。

 これは、教師の生き方を問わずにはおかないし、また、時代と社会に対する批判精神を欠いては実現しないものとなりましょう。「人間不信」の新自由主義の原理に真に対抗できる「教育の思想」になりうるのではないでしょうか。

 私の最初の重要な仕事なのだ、と思っております。

 

佐藤 広美

 教育科学研究会委員長 / 東京家政学院大学

専攻領域

  日本近現代教育思想史

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