荒巻 りか 常任委員、「能力・発達・学習」世話人、「教育」<子どもの風景>編集担当

所属 都留文科大学非常勤講師、某地域の子ども・若者支援事業総合支援窓口
専門 ソーシャルワーク
著書・論文

メッセージ

スクールソーシャルワーカーとして11年勤務したのち、現在は子ども・若者支援事業の総合相談窓口で子ども・若者ソーシャルワーカーとして働いています。必然的に、年齢層が上がり、10代後半や20代の若者と話すことが増えました。都留文科大学でも同じくらいの学生さんたちと語り合っています。
 相談の場における学校に行きづらくなっている中高生、進路や就職に行き詰っていたりする若者たちと、授業で出会う大学生さんたちには共通点があると感じています。「ねばならない」「自分でなんとかしなくては」ということに縛られていて、体も心も硬くしている感じがするのです。周囲からの圧力によって、そして知らず知らず自分で自分を縛っている。周りの人への過度な気の使い方も似ています。迷惑をかけてはいけない、と自制していくための感情のコントロールが優先されるのです。自己責任論がほんとうに浸透しているのだなあ、と実感します。
 でも、若い彼らは、そのことに気づき他者の声が聴こえ始めると、なんとも見事に柔らかくなっていきます。視界がふわっと拡がっていき生気がよみがえるのが目に見えるくらいに。他者の手のぬくもりを感じられるようになり、安心して悩みを語り始めてくれます。
 大きな社会構造の問題は、すぐには変えられないかもしれません。でも、人間関係の貧困や孤独地獄に陥らされず、自己責任論から解放されるのは、目の前の「あなた」と手をつなぎあうことから始まるのだと思います。精神の自由を阻むものに対する抵抗は、ここから始まる、と。教科研での活動もその一環と考えています。

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