久冨 善之 『教育』編集部、出版発信事業部、「教師」部会、「教師の危機と希望」分科会世話人

所属 一橋大学名誉教授(社会学研究科・教育社会学担当)
専門 教育社会学、教員文化論、学校文化論、競争の教育批判、生活困難層の子育て調査
著書・論文

メッセージ

 教育社会学は進学機会の階級・階層格差に一貫して注目、その現代的問題として「生活困難層の子育て」実態調査にとり組んできた。教科研や教師の教育実践に出会い「教員文化の日本的特性」や「教師が当面する困難と希望」というテーマにも仲間とともに追究している。さらに社会学の「社会過程としての競争」概念を教育分析に適用した「競争の教育」論で、教育の競争的実態とその乗り越え可能性を考えてきた。それらとともに「日本の学校文化」や「学校づくり」実践・運動の実際や可能性についての調査と考察を行ってきた。それらを通じて、日本の教師たちのなかに特有の「実践志向」がある点に着目して「日本の教師」というテーマにとり組んでいる。そういう意味では、これまでの私の歩みは一途に「社会学を教育研究に生かす」という点に尽きる。残された時間はそれほど長いとは思われないが「頭が働く」限りは、この道を進みたいと考える。

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