教育科学研究会通信 京都(関西)教科研例会案内294号 5月号

資料

                           

教育科学研究会通信

京都(関西)教科研例会案内294号

          5月号

                           

      京都 聖アグネス教会

日時 2017年5月20日(土)午後6時30分~(時間変更注意)

  場所 乙訓教育会館

提起

       検証・ブラックな学校

        -教育 5月号(谷口論文)の検討―

                      吉益 敏文 (事務局)

  内容 京都教科研第280回5月例会 

討議の方向

  現代の学校は「ブラック企業?」なのか。長時間労働、パワハラ様々な事象に

  現場の教員はどのように考えているのか、5月号第2特集から考えてみたいと思います。参加者の問題意識を大いに語ってください。参加をお待ちしています。

 

   

                            

京都教育科学研究会第279回4月例会の報告

294例会は三重や滋賀からの参加があり、それぞれの問題意識を自己紹介をかねて語られました。続いて、野中代表が4月号のいくつかの論文の感想を語られ、82歳の今をどうとらえるのか、教育学者としてのみずからの足跡を振り返られた。

日本の教育の良心の中心として「戦争責任」について言及され戦前・戦後の歴史について詳細に語られた。教育実践の柱に「良心」という教育的価値を軸にしてほしいと結ばれた。

討議の中では人間の優しさとは何なのか、悪と向き合う中で人間の弱点についてみつめることが出来る、感性的に内心から「良心」が湧き出る生き方、ウソっぽいことを直観できる感性的認識の大切さなどが語られました。82歳になった今、自分の教育哲学をさらに深めたいと結ばれました。

                           (レジメ参照)

(訂正版)

〝「教育の良心」を引き継ぐ~教育的価値を探りながら~″       2017/4/15 

                              野中一也

Ⅰ 「いま」をどうとらえるか

  1. 私的に「いま」をどうとらえるか

82歳の「いま」を充実して生きたい  「過去」を「いま」に生かしたい

 「不安」の中での「平安」を求めて →「良心的なもの」→ 「超越的世界」

  1. 外的条件(国家権力)の「いま」

 新自由主義的諸政策  管理と統制  偽善者的支配

  全面的な構造的右傾化  精神・思想・文化・教育・宗教・マスコミなどの分野

 良心を教育的価値として展望する

Ⅱ  雑誌『教育』(特集「教育の良心」)4月号より

  1. 山崎・藤田論稿 『教育』再刊の意義  平和教育
  2. 勝田・宗像さんらの主張  戦争に加担した痛み 
  3. 野中の感想  「戦争責任」を今日どう捉えるか

 戦争責任を「素通り」(スルー)する潮流  「正気」=狂気的「悪」

 勝田守一と高坂正顕の今日的意義  

Ⅲ 「日本の良心」の中核に「戦争責任」を!

ⅰ「精神の退廃」の克服  cf.「教育勅語」

感性的に内心の奥底に「良心」をもつ意義   「素通り」心性の克服

ⅱ「自己の退廃」に向きあう

「絶対悪」の太平洋戦争に向きあう  安倍政権の「現在」に「過去」を!

ⅲ「人間は反省を介して目覚める」(シェリング) cf.「共同存在の現象学」

  1. 戦前・戦中の「総力戦体制」~絶対的「悪」の問い~

 「皇軍」の加害者責任   未来に生かす記録から

多喜二の虐殺  非人間性の極限  拷問者の「銀杯」表彰 拷問から逃げた人の苦悩

南京大虐殺事件 「三光作戦」 「殺・掠・姦」(中国民衆の日本兵へのことば)

広島・長崎  非人間的実験  無神経・無感覚・「達成感」

土屋芳雄の「人間の良心」 悪魔から「人間」への道

  1. 戦後の記憶と忘却の攻めぎあい

レッドパージ  「赤」のレッテルで憎しみの対象づくり(反共イデオロギー)

朝鮮戦争  「特需」で浮かれる国民づくり  拝金主義 「対米従属精神」

水俣病問題  cf.「苦海浄土」

フクシマ  「神話」づくりの破綻  いつか来た道 cf.「チエルノブイリの祈り」

  1. 右翼的潮流~倒錯的民族国家観~

  歴史修正主義  偽善性

  「生長の家」 源流は「生命の実相」

  神社本庁  古事記・日本書紀の神話依存  cf.伊弉諾神宮

  「日本会議」  安倍政権の大部分占拠  cf.「日本会議の正体」

Ⅳ「日本の良心」を求めて~慈悲と愛と和~

  1. 庶民の日常生活の中に

  「生」と「死」の迷いの中で「平安・平和」を求める  「永遠平和」の〝和″

  1. 日本の精神文化の中で

ⅰ 神道  自然観、八百万の神、自然の〝神″、民俗学など

  大自然災害の下での「神との共生」

ⅱ 仏教  武士、庶民のこころ 法然、親鸞、道元など  cf.「なんまいだ」

   神仏習合の日常生活  本地垂迹

ⅲ「他者共存」の共同体~異質の受容~

 ことば  相手から学ぶ「敬語」 

        つながりの中での「優しさ」

  ⅳ キリスト教  「個」の尊重  内村鑑三  遠藤周作

  ⅴ プロレタリア階級  過酷な弾圧の下での人間性 「獄中O年」

Ⅴ 教育実践の柱に「良心」という教育的価値として!

  1. 「戦争責任」を継承・発展   教科学習の基底に

  戦争=「悪」の理性的認識を  教科「道徳」に戦争責任を

   忘却は「自然」  事実・「悪」の学習で記憶・継承

  1. 感性的にも内心から「良心」が湧出する生き方を

  ウソっぽいと直観できる感性的認識

  1. 自主的活動(教科外活動)の中で「良心的活動」を!
  2. 良心を教育課程で自主編成する

おわりに

 妻に感謝: 発症8年目 「天真爛漫な子どものようになっていく」側面を学ぶ

  「子どもと犬に好かれる野中君」(勝田さん)

  永遠平和の理想をもって「いま」を大切に生きたい!

読書・映画・DVD情報(趣味的ですいません)

➀パプチン                   桑野隆   平凡社新書

  前回紹介した暉峻淑子の本の中に対話の重要性が語られロシアの言語学者パプチンの紹介があり入門書を読んでみた。ヴィゴツキーとも親交があり、スターリンの言語学に批判的だったパプチンの生き方もその言語理論とあわせて興味深かった。

➁野良猫を尊敬した日              種村弘   講談社

  題名にひかれて読んでみた。短歌の歌人のエッセイ集。日常のさりげない会話がおもわずクスッと笑ってしまう。

➂教室は楽しい授業でいっぱいだ         山﨑隆夫  高文研

  山﨑さんの新刊書。本の帯に「私のクラスの子どもたちと、私のクラスにしかうまれない授業をうみだしていこう」と書かれている。日常の授業にこめられた山﨑さんの熱い思いが肩肘はらずに書かれていて、こんな授業に自分も参加したいと強く思う。

○団地       阪本順二監督  藤山直美・岸部修三主演

  少し奇想天外な所があるが二人の会話が面白く、日本の団地のありのままが描かれている。登場人物がみな芸達者で笑っているうちに映画が終わる。

編集後記(2)・よもやま話

※安倍内閣の閣僚の傲慢さと質の低さにあきれてしまう。もっとも森友疑惑で首相自らが居直っているのだから「謝罪」などことば遊びにすぎない。ただ世論の追求の中で教育勅語を信奉する小学校が建設されなかったのは事実である。曖昧にせず徹底追及したい。首相夫人の関わりはかぎりなくクロに近いのだから。自分の支持率が高ければ何をしてもいいなど、言語道断である。※藤沢周平の立花登シリーズ第2作が始まった。テレビで放映される前に再度、原作を読んで視聴すると面白さが倍加する。主演の溝端淳平がいい。※本は買わずに図書館でもっぱら借りるようにしている。けれど横山光輝の復刻本『鉄人28号』を買ってしまった。こっそり隠れて読んでいたがみつかってしまい「また家の中にゴミが増える」と言われてしまった。※カラスにつかまりそうになり、家の前の溝におちこんだ野生のネコを救って半年。ようやく寒い冬をのりきり元気に育ってくれた。迷った末、動物病院で去勢した。新緑の5月、さわやかだが人も疲れが出る頃。お身体ご自愛を。

  (吉益)